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気づけば同じ意見ばかり? SNSアルゴリズムと情報の偏り

Tags: SNS, アルゴリズム, フィルターバブル, エコーチェンバー, メディアリテラシー, 情報の偏り, 情報収集

SNSの「おすすめ」があなたに見せる世界

日頃からSNSを利用している皆さんにとって、タイムラインに流れてくる情報はとても身近なものでしょう。気になるアカウントをフォローしたり、興味のある投稿に「いいね」をつけたり、コメントしたりすることで、次に見たい情報がどんどん表示されるようになります。とても便利な機能ですよね。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。あなたのタイムラインには、いつも似たような意見や考え方の情報ばかりが表示されていませんか。あるいは、自分が興味を持った分野の情報ばかりが繰り返し流れてきて、他の分野の情報はほとんど見かけない、といった経験はありませんか。

これは偶然ではなく、SNSの「アルゴリズム」が大きく関わっています。

アルゴリズムって何?なぜ情報が偏るの?

SNSにおけるアルゴリズムとは、あなたが過去に「いいね」した投稿、コメントした投稿、閲覧時間の長い動画、フォローしているアカウントの種類などを分析して、「あなたにとって関心が高いだろう」と判断した情報を優先的に表示する仕組みのことです。

このアルゴリズムのおかげで、私たちは自分の興味に合った情報に効率的にアクセスできます。しかし、その一方で、アルゴリズムはあなたが関心を示さないと判断した情報を、積極的に表示しなくなります。その結果、私たちの目に触れる情報は、知らず知らずのうちに偏ってしまうのです。

フィルターバブルとエコーチェンバー

アルゴリズムによって情報が偏り、自分の興味や考え方に近い情報ばかりに囲まれてしまう状態を「フィルターバブル」と呼びます。まるで泡の中にいるかのように、自分が見たい情報だけが見えやすくなるイメージです。

さらに、自分と似た意見を持つ人々が集まり、その中で特定の情報や意見が繰り返し共有・強調されることで、あたかもそれが世の中の一般的な意見であるかのように感じてしまう現象を「エコーチェンバー(反響室)」と呼びます。まるで壁に反響する声のように、同じ意見だけが何度も聞こえてくるイメージです。

これらの現象は、私たちが多様な視点や異なる考え方に触れる機会を減らしてしまう可能性があります。その結果、視野が狭まったり、自分と異なる意見に対して不寛容になったりするリスクが生まれます。デマやフェイクニュースが、特定のフィルターバブルやエコーチェンバーの中で信じ込まれ、拡散されてしまうケースも少なくありません。

どうすれば情報の偏りに気づける?

アルゴリズムによる情報の偏りに気づき、それにうまく向き合うためには、いくつかの方法があります。

  1. 自分の「好き」を自覚する: まずは、自分がどんな情報に興味を持ちやすいか、どんなアカウントをフォローしているかを意識してみましょう。それがそのままあなたのフィルターバブルの傾向を示しているかもしれません。
  2. 異なる情報源に触れる: いつも利用しているSNSだけでなく、ニュースサイト、新聞、書籍、テレビなど、複数のメディアや情報源から情報を得るように心がけましょう。異なる視点に触れることで、情報全体のバランスを把握しやすくなります。
  3. フォローリストや設定を見直す: SNSによっては、おすすめ表示の設定を変更したり、興味のない情報を非表示にしたりする機能があります。また、意図的に自分とは異なる意見を持つ信頼できるアカウントをフォローしてみることも有効です。
  4. 検索方法を工夫する: 何か情報を調べるとき、特定のキーワードだけでなく、異なる角度からのキーワードで検索してみたり、信頼できる情報源(公的機関、専門機関、大手メディアなど)から情報を得るように意識したりすることも重要です。

まとめ

SNSのアルゴリズムは、私たちの情報収集を便利にしてくれる一方で、情報の偏りという課題も生み出します。フィルターバブルやエコーチェンバーといった現象を理解し、自分がどのような情報に囲まれているのかを意識することが、メディアリテラシーを高める第一歩です。

受動的に流れてくる情報を受け取るだけでなく、主体的に多様な情報源にアクセスし、異なる視点に触れる機会を積極的に作ることで、よりバランスの取れた情報理解を目指すことができます。アルゴリズムを理解し、賢くSNSを利用していくことが、これからの情報社会ではますます大切になっていくでしょう。